問題4.2変数関数の最大値・最小値問題(文字消去できないとき)(逆手流や逆像法と呼ばれる問題)

文章でも解説していますが、少し長いです。今回の問題は動画の方が分かりやすいと思います。

この問題なんだけど、\(x+y\)と2変数関数の最大値・最小値問題です。これまでと同じ考え方だったら、\(x^2+y^2=1\)と\(x\)と\(y\)の等式が与えられているから、2変数関数の最大値、最小値問題は文字消去して1変数関数にして解いていくんだったよね

でも、今回の場合文字消去しようとすると\(x^2+y^2=1\)を\(y\)について解いてみると、\(y=\pm\sqrt{1-x^2}\)となります。これで1変数にできるのかもしれないけど、これだとあまりに複雑だよね。

だから、今回の問題は1変数にして解いていく解き方以外の解法で解いていかないといけません。まずは、こういう問題のように「2変数関数の問題だけど1変数にすることはできない(できたとしても、複雑になりすぎて計算できそうにない場合も)!そういった問題は別の解法がある」ということを覚えておいてください。

*ここからの説明が少し難しいです。このタイプの問題は受験では頻出なのに学校や問題集でもあまりしっかりと解説されていません、逆手流や逆像法と呼ばれる解き方です。ただ、理解してしまえばそこまで難しくありません。医学部でも頻出なのでしっかりと理解しておいてくださいね。1度で理解することはフツウは無理ですよ。1度できないくらいで落ち込まないで、理解できるまで何度も解きなおしてください。

それでは、問題に戻るね。今回の問題は2変数関数だったんだけど1変数関数にすることはできなかったんだよね。だから、これまでやってきた解き方の「2変数関数を1変数関数にしてグラフをかいて最大値、最小値を求める」では解くことができません。。

そこで、どうしようかな?と思うんだけど・・・ちょっと、いきなり解いたら難しいと思うので、まずは補題を設けることにします。

補題「\(x^2+y^2=1\)のとき、\(x+y=\sqrt{2}\)となることはあるか?」を解いていくことにします。

最初に結論を言ってしまうけど、今回の補題の答えは「ある」です。ちなみに、\(x=\frac{1}{\sqrt{2}},y=\frac{1}{\sqrt{2}}\)のとき、\(x^2+y^2=1\)となってくれます。

補題を解説していきます。この補題の「\(x^2+y^2=1\)のとき、\(x+y=\sqrt{2}\)となることはあるか?」を言い換えたら、「\(x^2+y^2=1\)かつ\(x+y=\sqrt{2}\)をみたす実数\(x,y\)は存在するか?」と言い換えることができます。

\(x^2+y^2=1\)をみたすある適当な\(x,y\)を代入して、\(x+y=\sqrt{2}\)になることがあれば、\(x+y=\sqrt{2}\)となりえます。このことより、「\(x^2+y^2=1\)のとき、\(x+y=\sqrt{2}\)となることはあるか?」を言い換えたら、「\(x^2+y^2=1\)かつ\(x+y=\sqrt{2}\)をみたす実数\(x,y\)は存在するか?」が成立していることが分かると思います。

*上記の説明は難しいですよ。なんとなく、「ふわふわした理解」という人も多いと思います。僕も最初のうちはそうでした。だから、最初のうちは「あっ、なんとなくそんな感じがするなぁ」程度の理解で大丈夫ですよ。何度も出てくるので、そのうち分かってきます。はじめから完璧に理解しようとしない!これが数学の鉄則ですよ。

ちなみに上記の\(x=\frac{1}{\sqrt{2}},y=\frac{1}{\sqrt{2}}\)の見つけ方ですが、単純に\(x^2+y^2=1\)と\(x+y=\sqrt{2}\)を連立しただけですよ。

\(x,y\)どっちを消去してもらってもいいけど、例えば\(y\)を消去すると与式は\(x\)についての2次方程式です。具体的な値を求めずに、実数解が存在するかどうかだけだったら判別式で判断できます。

では、問題4に戻ります。先ほどは\(x+y=\sqrt{2}\)とある具体的な値で解いていきました。これを一般で考えると、\(x+y=k\)として解いていきます。それでは、解答に進みますね。ちょっと難しいけど、そんなものだという程度の理解で十分ですよ。一度ですべて理解するのは無理ですよ。

【問題4の解答】

\(x+y\)が\(k\)という値をとるとする。このとき、\(x^2+y^2=1\cdots(1)\)かつ\(x+y=k\cdots(2)\)を満たす実数\(x,y\)が存在する。

(2)より\(y=k-x\cdots(2)’\)

(2)’を(1)に代入する。

$$\begin{align*}
&x^2+(k-x)^2=1\\
&x^2+k^2-2kx+x^2=1\\
&2x^2-2kx+k^2-1=0
\end{align*}$$

\(2x^2-2kx+k^2-1=0\)の判別式を\(D\)とする。実数\(x\)が存在するので、\(D\geq0\)となる。

$$\begin{align*}
\frac{D}{4}=(-k)^2-2(k^2-1)&\geq0\\
k^2-2&\geq0\\
(k+\sqrt{2})(k-\sqrt{2})&\geq0\\
-\sqrt{2}\leq &k\leq\sqrt{2}
\end{align*}$$

これでおそらく最大値が\(\sqrt{2}\)で最小値が\(-\sqrt{2}\)であることが分かりました。おそらくという表現をなぜ使ったのかは、下記の【注】を見てください。あとは、等号が成立するような\(x,y\)の値を求めておかないといけません。

\(k=\sqrt{2}\)のとき、(1),(2)を連立して\(x=\frac{1}{\sqrt{2}},\,\)\(y=\frac{1}{\sqrt{2}}\)

\(k=-\sqrt{2}\)のとき、(1),(2)を連立して\(x=-\frac{1}{\sqrt{2}},\,\)\(y=-\frac{1}{\sqrt{2}}\)

以上より、\(x=\frac{1}{\sqrt{2}},\,\)\(y=\frac{1}{\sqrt{2}}\)のとき、最大値\(\bf{\sqrt{2}}\)

\(x=-\frac{1}{\sqrt{2}},\,\)\(y=-\frac{1}{\sqrt{2}}\)のとき、最小値\(\bf{-\sqrt{2}}\)

【注】\(-\sqrt{2}\leq k\leq\sqrt{2}\)より、おそらく最大値が\(\sqrt{2}\)、最小値が\(-\sqrt{2}\)とした理由について

上記の問題と全然関係ない問題です。例えば、\(f(x)\geq2\)が言えていたら、\(f(x)\)の最小値が2に決まるか?という話です。

これなんですけど、\(f(x)\geq2\)だけだったら\(f(x)\)の最小値が2になるということは言えないんです。

なぜかと言うと、例えば\(f(x)\)の最小値が3だったとしても、\(f(x)\geq2\)は満たしているよね。

ちなみに、\(f(x)\geq2\)というのは、\(f(x)>2\)または\(f(x)=2\)ということです。

だから、例えば\(f(x)\)の最小値が3だったとしても、\(f(x)\geq2\)は満たしているんです。

でも、もし仮に\(f(x)\geq2\)が成立していて、かつ\(f(x)=2\)となるような\(x\)が存在したとしたら、\(f(x)\)の最小値は2ということがいえるよね。

こういうふうに不等式を使って最大値や最小値を求めるときは、必ず等号成立条件を書いておかないと減点されてしまいますよ。気をつけてくださいね。

かなり、長かったけど、これで今回の問題は終わりです。逆手流や逆像法と呼ばれるものです。医学部の入試では頻出ですのでしっかりと理解しておいてくださいね。頑張ってください。

医学部に向けての数学の勉強ができるメルマガを毎週月曜日に無料で配信中!

10年以上落ち続けた30代の女性・・・半年後医学部医学科に合格!

青チャートなんて無理!黄チャートでも難しいといった再受験生・・・岡山大学医学部医学科に合格!

3浪してもセンター6割(涙)8割なんて夢のよう・・・入会9か月後に島根大学医学部医学科に合格!


医学部なんて絶対無理!」と言われてきた人でも合格できた医学部受験の数学の秘訣をメルマガでお知らせします。


メールより、ラインの方がいいという方は

ラインでメルマガを配信してもらう」から登録してください。